展示会出展にたくさんの予算をかけられない中小企業のために、展示会選び方をご紹介します。
- 「期待していた来場者が来なかった。」
- 「初めての展示会でどれに出展すればいいかわからない。」
- 「どうせ出展するなら最大の効果を出したい。」
そんな方にピッタリの記事になっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
展示会出展の目的を再確認
出展する展示会を選ぶ前に、まずは展示会出展の目的を再確認しましょう。一般的に展示会の出展目的は下記のようなものがあります。
- 新製品の発表
- リード獲得
- 認知度向上
- ブランディング
- ビジネスパートナーの獲得
自分たちが展示会に出展する目的は何なのかを今一度再確認しておきましょう。基本的なことですが、展示会出展におけるもっとも重要な基準となります。
またこの記事ではリード獲得を目的にした中小企業の方(1小間、2小間出展)に向けた内容になっております。
展示会の種類
まず展示会選びを始めるにあたり、世の中にどのような展示会が存在しているのか知る必要があります。
総合展、専門展、プライベートショーという大きく分けて3つのカテゴリがあり、それぞれ特徴があります。
専門展
専門展とは業種や業界に特化した製品やサービス、ソリューションが集まる展示会です。
企業のマーケティング担当者がイメージする展示会はほとんどがこの専門店に当たると言っても過言ではないでしょう。
業界では有名なRX Japan株式会社が企画しているような展示会といえばイメージがしやすいでしょうか。
専門展のメリットはその名の通り、比較的イメージ通りの来場者が期待できるということです。
また、主催者側も運営や集客に力を入れていることが多く展示会全体としての来場者が多くなる傾向にあります。
来場者としても自分が求めているソリューションを探しやすいということになります。
デメリットは総合展やプライベートショーに比べて出展料が高く設定されているため、比較的コストがかかるという点が挙げられます。
また、使用する会場も東京ビッグサイトやインテックス大阪など、大規模な会場であることが多く、出展社数も多くなります。
そのため展示会にコストがかけられない中小企業は、いい場所に小間を確保できない可能性があります。展示会における小間位置は効果に直結する重要な要素です。
小間位置を含めた小規模小間のブース運営・装飾についてはこちらの記事でも紹介しているため、気になった方はぜひご覧ください。
このような点をデメリットとして覚えておきましょう。
総合展
総合展は業種を限定せず、様々な製品やソリューションが展示される展示会です。
総合展の場合は官公庁などが主催していることも多く、少し地味で華やかさに欠ける印象があったりします。
また専門展に比べて出展社募集の案内が控えめであることも多く、展示会選びの際に候補にも挙がってこないケースもあるのではないかと思います。
しかし総合展にもメリットがあります。それは出展費用の安さです。
総合展に比べると出展費用が安く場合が多く、コストを抑えることができます。
初めての出展でなるべくコストをかけたくない企業には、いい選択肢になる場合があります。
しかし、業種を問わず様々な製品やソリューションが展示されているため、来場者も様々。
成約率やリード獲得数などを目的とする場合は専門展よりも効果が落ちてしまう可能性があります。
プライベートショー
最後に紹介するのはプライベートショーです。
これはイベント運営会社や官公庁が主催する展示会ではなく、一般企業が自社の製品をアピールすることが主な目的となっている展示会です。
出展社は主催者である企業が決めるため、誰でも平等に参加資格があるわけではありません。
専門展や総合展に比べて来場者と主催者の関係性が深いことが多く、来場者の会場滞在時間が長くなる傾向があります。
もし出展することができれば来場者一人一人とじっくり話をすることができることがメリットです。
一方で、プライベートショーは来場者の母数が少なく、リード獲得数や名刺獲得枚数は総合展や専門展に比べて少なくなってしまいます。
専門展、総合展、プライベートショーと3種類のタイプをご紹介しました。
リード獲得を目的とした展示会出展の場合、リード獲得単価がKPIとして設定される場合がほとんどです。
リード獲得単価を抑えて、低コストでリードを獲得するための展示会選びに欠かせないチェックポイントをご紹介します。
確認すべきポイント
展示会選びを行う際、WEBサイトや出展検討資料の中にはたくさんの情報が掲載されています。
開催場所から来場者属性、来場者誘致の施策など主催者によって開示されている情報は様々です。
出展社である私たちは開示されている情報を正しく理解することで、出展後に得られる成果とのギャップを減らすことができると考えています。
また、10小間以上のスペースを確保する大企業と1~2小間のスペースでブースを運営する中小企業では注目すべきポイントも当然変わってきます。
ここでは必ず確認してほしいチェックポイントを紹介します。
開催場所(エリア)
まずは開催エリアを確認しましょう。
専門展や総合展は各エリアの大型会場で行われるケースが一般的です。
- 関東:東京ビッグサイト、パシフィコ横浜、幕張メッセ
- 関西:インテックス大阪
- 九州:マリンメッセ福岡
のような会場です。
販促を強化したいエリアが決まっている場合は、そのエリアからアクセスのよい会場で開催される展示会をピックアップすることが重要です。
では特に販促を強化したいエリアがない場合はどうでしょうか。
「とりあえず東京だったら全国から集まりそうだから、首都圏開催の展示会に出展してみよう」
と安易に考えた方、危険です。
なぜなら、関東エリアの展示会へ来場する方のほとんどが関東圏在住だからです。(気になった方は出展社案内を見てみてください。)
日本の首都であり、ビジネスの中心である東京をはじめとする関東エリアで開催されると聞くと全国から課題を持った来場者が集まるのではないかとイメージしてしまいますよね?
ここが展示会選びでハマってしまう落とし穴ですので、注意してください。
出来ればザックリでもいいので注力エリアをイメージして展示会選定をしてみてください。
注力エリアを考える際は、会期後のフォローをしやすいかどうかなどを考えてみると良いかもしれません。
開催場所(会場)
次に確認すべきポイントは会場です。
エリアのセクションで代表的な大規模会場を紹介しました。
ここで紹介した会場は日本でも特に大きな会場で、専門展や総合展が毎日のように開催されています。
大規模会場は開催される展示会の規模の大きいため、出展社も大小様々です。大企業は会場中央辺りに広大なブースを構えて集客するため、中小企業が1~2小間で出展する場合どうしても不利な場所になってしまうことが多いように思います。
不利な場所というのは会場の端にある導線に面した1面開放のブースや、角小間でもメインの導線からは少し離れた場所を指しています。
大規模会場の場合、来場者目線で考えると会場全体を見て回ることは現実的には不可能です。
「自社のブースを目指して来てくれる人」以外がブースの前を通過する数が絶対的に少なくなってしまいます。
そうすると自社のことを知らない人潜在層にアピールできるという展示会のメリットを失ってしまうのです。
このような点を踏まえて、大規模会場で開催される展示会に出展する場合は多少コストがかかってでもメインの導線に面した角小間を強くおすすめします。
個人的におすすめなのは中規模~小規模会場で開催される展示会です。
会場が狭いため、来場者数自体は大規模会場に比べて少なくなってしまいますが、来場者が会場全体を網羅的に巡回してくれます。
また中規模~小規模会場は都市部から離れた場所にあることが多いため、オンラインや大規模会場では出会うことができない人に会うチャンスがあります。
さらに中規模~小規模会場の場合、予算の少ない中小企業でも早い段階で申し込みを行えばとてもいい位置にブースを構えることができます。
展示会出展はとにかく小間位置が重要です。大規模会場では複数小間を申し込まないと確保できない出入口付近や、メイン導線に面した小間などにも出展できるチャンスがある中~小規模会場は狙い目です。
出展料
次に出展料です。
ザックリですが、1小間30万~50万くらいが小間料金の相場でしょう。
ここにブースの装飾費用やセミナー登壇料、集客施策費用などが追加されます。
出展料を抑えることはリード獲得単価を抑えることにつながるため、予算の少ない中小企業の展示会出展においてはとても重要なポイントとなります。
ですが、出展料だけを見て展示会選びをするというのはやめておきましょう。
正しく展示会に関する情報を収集し、自社にマッチする展示会を選ぶことができれば出展料に見合った成果を得ることは比較的容易であると考えています。
また、出展料については安かろう悪かろうではないということを意識しておいてください。
地方開催の展示会や、官公庁主催の展示会など費用対効果が高くなる傾向にあるものがたくさんあります。
来場者数
次に来場者数です。
来場者数は展示会の規模を知るために重要な情報となります。
来場者数を正しく読み取るために注意しておかないといけないことがあります。
それは複数の専門展で構成された展示会で、全専門展の合計来場者数を記載している場合です。
例
【教育EXPO】
構成展①:教育DX展
構成展②:学校防災展
構成展③:事務支援システム展
上記のような構成の展示会はよくあるパターンで、各構成展から出展案内を取得することも多く、各構成展が同じ規模で開催されるかのような見せ方になっています。
しかし実際の来場者は下記のような状況になっていることがほとんど。
【教育EXPO】来場者数:10,000人←資料に出される数字はココ
構成展①:教育DX展 来場者数:6,000人
構成展②:学校防災展 来場者数:3,000人
構成展③:事務支援システム展 来場者数:1,000人
もし10,000人の来場があると思って事務支援システム展に出展した場合、どのような結果になるかは容易に想像できます。
出展案内資料に記載されている来場者数の内訳がどうなっているのかをしっかりと把握することで、期待する来場者とのギャップを埋めることができると思います。
ほとんどの場合、構成展の来場者数は開示されていないため主催者へ確認してみましょう。
来場者属性
次に来場者属性です。
来場者登録で取得した属性情報を集計して、出展資料に掲載してくれています。
イメージのように業種と職種などの情報が公開されています。
自社が期待している業種の人がどのくらい来場するのか、リード獲得が目的であれば現場担当者や決裁権限のある方がどれだけ来場するのかしっかりと確認しておきましょう。
特に、複数展示会で構成されているEXPOなどでは構成されている展示会それぞれの規模感がザックリと判断できる材料になるため、有益な情報となります。
出展社数
次に出展者数です。
中小企業がリード獲得を目的とした出展を行う場合、出展者の数は展示会の規模を測るための参考情報程度に留めておいてよいでしょう。
基本的には出展者数が多いほど展示会としての規模は大きくなり、さまざまなカテゴリのソリューションが展示されます。
つまり、出展者数に比例して会場全体としての来場者数も増えていきます。
しかし、中小企業がリード獲得を目的とした1小間、または2小間程度の出展を行う場合、会議中に捌ける来場者数は上限があります。
つまり出展者数に比例して会場全体の来場者は増えるが、自社ブースに来場する人数は一定のラインを超えると比例しなくなります。
上記のような理由から参考情報に留める程度で問題ないと考えて居ます。
主催者
次に主催者です。
RX Japanをはじめとする、たくさんの展示会主催者が存在していますが展示会選びの際に気にしすぎる必要はありません。
が、狙い目の展示会を見つけるための情報として活用できる場合があります。
それは、主催者が特定の業種に関する展示会のみを企画している場合です。
様々な業種の展示会を年間通して運営している主催者と比べて、来場者の質が高いように思います。
中小企業の展示会選びという視点では、展示会の派手さよりも名刺獲得単価やリード獲得単価が重要になりますので、業界特化している主催者の場合はひとつの狙い目だと思います。
同時開催の展示会
最後に注目してほしいのは同時開催の展示会です。
参考としてJapan IT Weekの事例を見てみましょう。
この展示会は
- Japan DX Week
- Japan IT Week
- EC・店舗Week
- 営業・デジタルマーケティングWeek
という4つの展示会で構成されています。
出展案内資料や、展示会HPでは上記のような形で4つの展示会がバランスよく同じくらいの規模で開催されているような見せ方で紹介されています。
しかし、これを鵜呑みにしないように注意してください。
- Japan DX Week (会場に占めるエリアの割合:60%)
- Japan IT Week(10%)
- EC・店舗Week(15%)
- 営業・デジタルマーケティングWeek(15%)
上記のような割合で展示会が開催されていることはよくある話です。
では、出展案内資料や展示会HPの挿絵を見ただけでJapan It Weekに出展してしまった場合、結果は言うまでもなく・・・ということになってしまうでしょう。
これはここまで紹介したチェックポイントの中でも特に重要だと筆者は考えていますので、しっかりと検討段階で主催者へ確認してください。
開催規模を濁してくる場合は、大体アウトだと思っていただいて構いません。
小技:あえて業種をズラすという選択
最後に展示会選びの小技を紹介して終わりたいと思います。
業種がズレていても、来場者の属性が合っていれば大成功する可能性があるという話です。
BtoCの展示会にはなってしまいますが、先日犬用品の展示会に行った際に会場中央のいい場所に中年女性向け高級コスメのブースがありました。
犬用品ではないのに大盛況。なぜでしょうか。
これは犬を飼うことができる、経済的に余裕がある中年女性が来場することを見越した戦略です。
展示会のコンセプトや業種とはズレていますが、来場者属性はコスメ企業のターゲットにマッチしているのです。
会場全体を回ってみましたが、人用のコスメはこの一社のみ。ブースはたくさんの人であふれていました。
おそらく相当な成果を上げたのではないでしょうか。
通常のコスメ系展示会に出展していれば競合他社がたくさん出展しているため、同等の成果を得るためには莫大な費用をかけて集客をしないといけなかったのではないかと思います。
展示会選びは「失敗」と「成功」と別れ道
この記事では低予算かつ小規模小間でも最大の効果を上げるための展示会選びについて紹介しました。
展示会出展の成功には、目的やターゲットに合った展示会の選定が必要不可欠です。
専門展、総合展、プライベートショーなど、それぞれの展示会には特徴があり、リード獲得やブランディングを目的とする場合、それに最適な展示会を選ぶことが重要です。
中小企業がリード獲得を目指す際、コストを抑えながら効果を最大化するには、エリア選びや会場規模、出展位置なども慎重に検討する必要があります。
また、主催者や同時開催される展示会の情報をしっかり把握することも、出展後のギャップを防ぐために重要です。
最後に、小技として紹介した展示会の業種と来場者の属性が一致しない場合でも、来場者属性がターゲットにマッチしていれば大きな成功を収める可能性があるという「業種をズラす」戦略もぜひ活用してみてください。
皆さんの展示会出展が成功することを祈っています。
コメント