BtoB企業におけるマーケティング施策の中で定番の展示会出展。
展示会出展の効果を正しく測定し、効果を実感するためには定量的な目標であるKPIの設定が必要不可欠です。
- KPIがそもそも何なのかわからない
- 展示会のKPIのイメージがつかない
- 自社に合ったKPIを設定したい
こんな方向けにKPIとは何なのか、そして展示会出展の際にどのようにKPIを設定すればいいのかを解説します。
展示会出展が決まっているけどKPIの設定ができていない。KPIの設定をしたことがないという方はぜひこの記事をよんで展示会出展の効果を最大化しましょう。
BtoBマーケティングにおけるKPIとは?
まずはBtoBマーケティングにおけるKPIとはどんなものかご存知でしょうか?
KPI(Key Performance Indicator)は重要業績評価指標のことで、KGI(Key Goal Indicator)として設定した目標に対するプロセスについて評価を行うための指標です。
KGIを達成するために必要なプロセスを分解し、それぞれにKPIを設定することで最終目標までのプロセスを理論立てて評価することができるようになります。
KPIの設定はマーケティング施策を効果的に運用する上で非常に重要であるため、いろいろなところでフレームワークやテンプレートが公開されています。そのなかでもKPIツリーはとてもポピュラーで使いやすいものですので、ぜひ活用してみてください。
特に株式会社才流のKPI管理テンプレートは使い勝手がよくおすすめです。
なぜ展示会出展にKPIが必要なのか
それではこの記事の本題に移ります。展示会出展におけるKPIの重要性についてです。
BtoB企業にとって展示会出展は昔から有効な施策として活用されていますが、その要因として様々な目的を達成することができる可能性を秘めた施策だからではないかと考えています。
一方で、「展示会に出しても意味がない」という声があることも知っています。そして、展示会出展の効果を感じない原因の一つにKPIが正しく設定されていない可能性があげられます。展示会の効果を正しく実感するためにも、目的に合ったKPIを設定する必要があります。
また、展示会出展は定期的に行うことが多い施策です。KPIを設定することでそれぞれの展示会で改善アクションをとることができます。
上記のような点から展示会出展にとってKPIの設定は重要であると言えます。
それでは次に展示会出展における正しいKPIを設定するためにどんなことに気を付ければよいか解説します。
【展示会出展のKPIを正しく設定するために】
展示会出展のKPIを正しく設定するためには3つのポイントがあります。
- 出展目的を明確にする
- 目的にあったKPIを設定する
- KPIに適した指標を使う
それぞれ詳しく見ていきましょう。
出展の目的を明確にする
この記事を読んでいる皆さんは、自社が展示会に出展する目的をしっかりと認識できていますでしょうか?
すぐに目的が答えられない人は要注意です。今すぐにメンバー全員と目的の確認を行ってください。目的によって最適なKPIは異なります。
- 新規顧客、リード獲得
- 認知度の向上
- 既存顧客との関係強化
- 市場調査と競合分析
上記のような目的で展示会へ出展することが多いため、それぞれの目的に合ったKPIをご紹介します。
展示会の目的設定については以下の記事で詳しく解説しています。
目的ごとのKPI
自社の出展目的がきちんと理解できたら、さっそくKPIの設定に移りましょう。
新規顧客、リード獲得
新規顧客、リード獲得を目的とした場合は、下記のようなKPIが設定されます。
リード獲得数
名刺交換やアンケートなどから得られるリードの獲得件数をカウントします。
リード獲得数は新たにビジネスチャンスを獲得できた数とも言い換えができるため、新規顧客獲得を目的とした出展の目標として適当です。
リード獲得数をKPIとして設定する場合は、リードの定義を事前にすり合わせておくことが重要です。
リード獲得数を最大化するためには以下のような取り組みを行ってみましょう。
- 事前集客の徹底
- ブースデザインの工夫
- ブース対応、呼び込みの工夫
- ツールの活用
商談化率
展示会で獲得したリードが後々商談化した率を計測します。
展示会では沢山のリードを獲得できます。獲得したリードの質を評価するために商談化率をKPIとして設定することもできます。
リード獲得数をKPIに設定したものの、リードの質が低く効果が薄いと感じている企業は商談化率にフォーカスすると状況が変わるかもしれません。
また商談化するまでに時間を要するリードも多いため、会期の3か月後や半年後、1年後など定期的に商談化率をモニタリングしてみましょう。
商談化率を上げるためには、以下のような取り組みを行ってみましょう。
- ターゲットの明確化
- 会期後フォローの徹底
- リードのランク付け
- 長期的なナーチャリング
アポ獲得数
展示会でブース対応を行う際に、アポ獲得まで到達した案件をカウントします。
展示会出展に対してリードの質を求める場合に適しているKPIとも言えます。アポ獲得数はリード獲得数と比べても短期的に自社のビジネスに直結する指標であるため、展示会の即効性を評価する指標としても活用できます。
アポ獲得件数を上げるためには以下のような取り組みが効果的です。
- ターゲットの明確化
- ブース対応スタッフの教育
- 魅力的なオファー
受注件数
展示会で発生したリード、商談から受注に至った件数をカウントします。BtoBマーケティングにおけるゴールは売上を上げることである場合が多く、受注件数はゴールにとても近い指標となります。
自社のビジネスにどれだけインパクトのある施策であったかを分かりやすく確認することができます。また、受注件数が分かれば売上額もわかるため、展示会出展の費用対効果を直接的に確認することができます。
また、リード獲得数などの他のKPIと照らし合わせることでリードの質を確かめることもできます。
受注件数を増やすためには以下のような取り組みが有効です。
- ターゲットの明確化
- フォロー体制の見直し
- クロージングスキル向上
認知度の向上
認知度の向上を目的とした場合は以下のようなKPIが設定されます。
ブース来場者数
ブース来場者数をカウントすることで、展示会を通じてリーチできた数を可視化します。自社のブースに来場してくれるということは、少なからず自社サービスに興味を持ってくれた人がいるという事実です。これは市場の中で潜在的なリードになり得る人の数を推測するための重要なデータとして活用できます。
また、事前集客の効果測定としてもブース来場者数を活用することができます。
ブース来場者数を増やすためには以下のような取り組みが有効になります。
- 事前集客の実施
- できるだけ良い小間位置での出展
- ブースレイアウトの工夫
ブランド認知度調査(KPIには不向き)
認知度を上げるだけでなく、会期時点で自社のことがどれだけ認知されているかを確かめるために認知度調査を行います。
定量的な目標ではないためKPIとしては適していないかもしれませんが、実際にブランドの認知状況について市場からフィードバックを受けることができる認知度調査。認知の獲得と併せて実施を検討してみるのもよいでしょう。
WEB、SNSへのアクセス状況のモニタリング(KPIには不向き)
自社メディアが保有しているメディアへのアクセス状況をモニタリングし、会期前と会期中、会期後の変化を把握することで認知の拡大を確認することができます。
昨今の展示会ではオンラインでの情報も充実しており、ブースに来場していない人もオンラインで情報収集を行っています。
オンラインでリーチできた人も認知の拡大として評価することができるでしょう。
既存顧客との関係強化
既存顧客との関係強化を評価するKPIは下記のようなものがあげられます。
既存顧客の来場者数:会期中に既存顧客が来場した件数
アップセル、クロスセル率:展示会に来場したことで生まれたアップセル、クロスセル案件の割合。
顧客フィードバック件数:ブースでの会話や、既存顧客向けアンケートによって直接的なフィードバックをもらった件数。
市場調査と競合分析
市場調査に関する評価指標は下記のようなものがあげられます。
競合他社の出展内容レポート:競合他社の出展製品やプロモーション内容をレポーティングし、自社の製品開発や販促活動に役立てる
アンケート収集件数:ブース来場者から収集したニーズ調査アンケートの件数
展示会レポート:会場全体を通した業界動向をまとめたレポートの作成
KPIに適した指標、適さない指標
ここまで目的別にKPIの例とKPI向上のヒントを解説しましたが、実はKPIに適している指標と、適していない指標があります。
KPIに設定する指標は、定量的かつ自社の頑張り次第で数値を向上させることができるものにすることが重要です。
KPIの設定がしやすいという視点では、
・新規顧客、リードの獲得
・認知度の向上
上記の目的で展示会に出展する場合はKPIが立てやすく、効果を感じやすいということになります。
逆に既存顧客との関係強化や、市場調査を目的とした場合KPIの設定が難しく、効果を体感できないという状態に陥る可能性があります。
市場調査や既存顧客との関係強化を第一の目的としてマーケティング活動を行う場合、展示会以外の施策を検討してみてもよいかもしれません。
KPIを正しく設定して展示会出展を成功させよう
BtoBマーケティングの代表的な施策である展示会出展におけるKPI設定について解説しました。
自社の出展目的に合わせた目標を設定し、展示会出展を成功させましょう。
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