なぜ展示会の目的設定が重要なのか?
BtoBマーケティングにおいて施策を検討する際、あらかじめ設定された目的を満たすために手段を検討する必要があります。
しかし、手段の目的化という言葉があるように手段先行で施策が決まってしまうことも多々あるのが現場のリアルな声ではないでしょうか。
Btobマーケティングにおいて展示会出展は一つの手段にすぎません。展示会はBtoBマーケティングにおいて長年活用されていますが、広告系の施策などに比べると効果を感じないという人も多いのではないでしょうか。
しかし、効果を感じられない理由は展示会という施策自体にあるのではなく、目的設定ができていないからかもしれません。
特に展示会はさまざまな目的を達成するために有効な施策です。裏を返せば、さまざまな目的を達成できる施策であるからこそ、目的設定をおろそかにすると方向性がブレやすい施策とも言えます。
展示会出展が決まった、または展示会出展を検討中だけれども目的設定ができていないという人は、ぜひ本記事を読み進めていただければと思います。
目的設定がもたらすメリットとは?
これから初めて展示会に出展する方は、展示会出展で達成することができる目的にどんなものがあるかご存知でしょうか?
- メンバー全員の意識が統一される
- 目標のズレを防ぐことができる
- 準備がスムーズになる
- 効果測定がしやすくなる
ここでは展示会出展における目的設定のメリットについて詳しく解説します。
メンバー全員の意識が統一される
一つ目のメリットは、展示会運営に参加するメンバーの意識が統一されることで、企画からフォローまでスムーズに進めるための指針となるという点です。
例えば、Aさんはリード獲得を目的として認識しており、Bさんは市場調査を目的として認識していたとします。
Aさんができるだけ多くの名刺を獲得するために企画を練ったとしても、Bさんは常に違和感を感じたままになってしまい、パフォーマンスが低下してしまいます。
このようにメンバー全員の目的意識がズレているとスムーズに進むことはまずありません。
展示会出展に限らず、施策実施にあたっての目的をメンバー間で共有し認識を合わせることは施策の進行に大きく影響します。
また展示会出展は1人だけでは成立させることができません。メンバーひとりひとりのパフォーマンスが成果に直結します。
目的の認識が揃わないまま会期を迎えてしまうと、ブース対応スタッフのパフォーマンスにどうしてもバラつきが出てしまいます。
こういった事態を防ぐためにも、定例会やチームミーティングなどメンバーが集まって話をする際には定期的に目的を確認しながら進めていくことをお勧めします。
目標のブレが防ぐことができる
目的を設定した後は目的を達成するために必要な定量目標であるKPIを設定します。
KPIは準備から会期後フォローを遂行する際に目指すべきゴールをわかりやすく見せてくれます。
また、展示会が終わってからも設定したKPIの達成状況を確認することで、次回出展時の改善行動に繋げることもできます。
このようにBtoBマーケティング施策において重要なKPIですが、目的が違えばKPIも変わってしまいます。
新規顧客、リード獲得を目的として認識している人と、市場調査を目的と認識している人では目標が合うはずがありません。
こんな状態では精度の高いKPIが設定できるはずもなく、展示会出展で成果を得ること、効果を感じることは難しくなります。
このような事態に陥らないためには、徹底した目的設定を行うことが重要です。
準備がスムーズになる
展示会で得られる成果は準備の時点でほぼ決まってしまうと言ってもいいほど、企画から会議までの時間が重要です。
目的やブースコンセプトの設定から始まり、販促物作成、パネル制作、ブースデザイン、集客など重要なタスクが山積みになります。
展示会で成果を得るためには、集客用のDMやメルマガ、販促物、ブースデザインでの訴求に一貫性を持たせなけれなりません。
一貫性を持たせるためにも目的設定が重要になります。クリエイティブ部門のメンバーとも目的の認識をすり合わせることで効率的で効果的な準備を行うことができます。
効果測定がしやすくなる
展示会が終わると施策として展示会を評価するために効果測定を行います。
効果測定は設定したKPIをどの程度達成したか、またはKPI設定が正しかったのかなどKPIを軸に測定します。
ということは、効果測定をするためにはKPIの設定が必要不可欠です。
そして、KPIの設定には目的の設定が不可欠です。
目的設定をしていない、または正しくできていないことで展示会の効果を実感できていない企業もたくさんあるのではないかと思います。
正しく効果測定を行うため、そして次の出展に向けて改善行動を行うために目的設定が重要です。
展示会出展の目的の例
展示会出展における目的といえば、どんなものを想像しますか?
株式会社ビズスパによる調査(https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000023.000050007.html)によると、「広く自社・サービスの認知を獲得したい」という目的が一番多いという結果が出ています。
このように製品・サービスの認知拡大やリード獲得のほかにも達成可能な目的があります。
まずは基礎知識として展示会出展で達成できる代表的な目的をインプットしておきましょう。
新規顧客、リードの獲得
展示会には出展サービスに興味を持った方がたくさん来場します。
自社のブースを目指してくる人、競合他社のブース目的で来場した人、目的のブースはないけど業界の情報収集をしたい人など、来場者も様々な目的をもって会場に足を運びます。
展示会は自社製品に興味を持った人が自発的にブースへ来場してくれる可能性があるプル型の施策です。
オフラインの施策で見込み顧客が自ら自社製品について情報収集をしてくれる施策はなかなかありません。このような理由からもリード獲得や商談獲得を目的として設定することがあります。
認知度の向上
展示会には業界に関わる様々な人が来場します。
例えば見込み顧客ひとつとっても、ユーザーになる可能性のある企業から代理店や販売店候補の企業など、様々なカテゴリの来場者が居ます。
また見込み顧客以外にも競合他社の開発メンバーが情報収集に来たり、業界での著名人やインフルエンサーの来場もあるでしょう。
このように様々な来場者が一堂に会する展示会は、自社製品やサービスの認知獲得にとても有効です。
新製品の発表などと組み合わせて出展を行えば、ブランディングの施策としてはさらに有効になります。
認知を目的として展示会に出展する場合、ブースデザインなどビジュアルで訴えかけるプロモーションに特に注力し、ブランディングしていくことが求められます。
既存顧客との関係強化
展示会には自社サービスのユーザーが新製品を求めて来場するケースもあります。
普段はメールや電話のやり取りが中心である場合には、面と向かって話をすることができる貴重な場となります。
見込み顧客向けの情報だけでなく、既存顧客への情報提供やヒアリング項目などを準備することで既存顧客との関係強化という目的を設定することもできるでしょう。
一般的には新規で受注するよりも既存顧客のアップセルやクロスセルを狙った方が効率よく売り上げを伸ばすことができるとされています。
市場調査と競合分析
展示会は市場のニーズを見込み顧客や既存顧客から直接聞くことができる絶好の場です。
その情報は自社の新製品開発や、機能改善に役立つ重要な情報であることは言うまでもありません。
また会場にはたくさんの競合他社がブースを構えています。
ブース運営の合間に他社のブースを観察するだけでも業界の動向や他社のプロモーション状況を把握するチャンスがあります。
目的は1つに絞る
様々な目的を達成するのに有効な施策である展示会出展ですが、目的はなるべく一つに絞りましょう。
目的を絞るプロセスで自社の強みや、自社の求めるターゲットについて再度見つめなおす機会にもなります。
また、目的が増えるとこれから準備を進めるブースや販促物の内容がどうしてもぼやけてしまうため注意しましょう。
目的に合った目標設定
数値目標の設定(KPI)
展示会の会期が終了すると、企画時に設定した目的がしっかりと達成されているかを確かめる必要があります。その際に判断の指標になるのが定量的な数値目標であるKPIです。
KPIを設定することで定量的に効果を測定することができます。
しかし初めて展示会に出展する企業や、今までポイントを抑えた展示会企画を行っていない企業の場合、実際にKPIを設定して展示会に出展してみると目標数値を達成できないことがあります。
そんな場合でも、KPIを設定してKPI達成に向けた準備をすることで、次回出展に向けた改善行動の材料になります。はじめは設定するKPI自体の精度が低かったり、ズレてしまうこともありますが、それは目的からKPIを設定するというプロセスがあるからこそ気づくことができます。
以下は展示会で使われるKPIの例です。
- 名刺獲得枚数
- アンケート収集数
- カタログ配布枚数
- WEB、SNSのエンゲージメント数
- アポ獲得数
次に達成したい目的別にKPIの例を見てみましょう。
新規顧客、リードの獲得
新規顧客、リード獲得を目的とした場合は、下記のようなKPIが設定されます。
リード獲得数:名刺交換やアンケート回答などから得られるリード件数
商談化率:展示会で獲得したリードから商談化率
アポ獲得数:展示会での接客および会期後フォローで獲得したアポ件数
成約数:展示会で獲得したリードが最終的に成約につながった件数
認知度の向上
認知を目的とした場合は、下記のようなKPIが設定されます。
ブース来場者数:ブースを訪れた人数を計測します。
ブランド認知度調査:アンケート調査などを実施し、現在の認知度を計測します。
WEB、SNSでのエンゲージメント:自社メディアにおけるエンゲージメントの変化をモニタリングします。
既存顧客との関係強化
既存顧客との関係強化を評価するKPIは下記のようなものがあげられます。
既存顧客の来場者数:会期中に既存顧客が来場した件数
アップセル、クロスセル率:展示会に来場したことて生まれたアップセル、クロスセル案件の割合。
顧客フィードバック件数:ブースでの会話や、既存顧客向けアンケートによって直接的なフィードバックをもらった件数。
市場調査と競合分析
市場調査に関する評価指標は下記のようなものがあげられます。
競合他社の出展内容レポート:競合他社の出展製品やプロモーション内容をレポーティングし、自社の製品開発や販促活動に役立てる
アンケート収集件数:ブース来場者から収集したニーズ調査アンケートの件数
展示会レポート:会場全体を通した業界動向をまとめたレポートの作成
目的設定は展示会出展で成果を上げるカギ
展示会出展はBtoBマーケティングにおいて非常に効果的な手段ですが、その成功を左右するのは、明確な目的設定であるということをお伝えしました。
目的を設定することで、メンバー全員の意識を統一し、準備から効果測定までのプロセスをスムーズに進めることが可能となります。
また、展示会出展の効果を正確に測定し、次回出展に向けた改善行動にもつなげることができます。
展示会出展で達成できる目的は多岐にわたりますが、特にリード獲得や認知度向上、既存顧客との関係強化など、目指すべきゴールを絞ることが重要です。
そして、目的に合ったKPIを設定し、結果を数値的に評価することで、施策の効果を最大限に引き出すことができます。
展示会出展の成功を確実にするためには、まずは徹底した目的設定を行い、その目的に基づいた戦略を練ることが不可欠です。
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